マーチンゲール法は何故ダメなのか? シミュレーションしてみるとわかるデメリットと危険性

martingale

こんにちは、FX SQUAREの星野です。

皆さん、元気にトレードしてますか?

ご存知の通り、FXには様々な取引戦略がありますが、FXでマーチンゲール法みたいなことをやったらどうなるの? と思ったことがある人もいるのではないかと思います。

マーチンゲール法とは、「倍掛け法」「勝つまでやめない戦略」として知られる、有名なカジノ必勝法の1つです。

そのやり方はとても単純で、たとえば初めの勝負で1万円負けたら、次は倍額の2万円を賭けて臨み、その勝負でも負けたら、今度はさらに倍額の4万円をかけて臨み、といったことを繰り返していくというものです。

要するに、勝つまで倍賭けするということですね。何度負けても最終的に1回の勝ちでそれまでの負けを取り返し、さらに利益を得ることができるのがこの手法を使うメリットであり、必勝法と呼ばれる所以になります。

でも、そんな魔法のような手法であるにも関わらず、FXの世界でマーチンゲール法を使っているトレーダーはほとんどいません。初心者にはわりとこの手法を好む方が多いのですが、そのほとんどは破産したり、途中でマーチンゲール法を使うのをやめてしまいます。

一体なぜでしょうか。

それは必勝法と呼ばれるマーチンゲール法が抱える大きなデメリットが関係してます、

この記事では、一見最強にも思えるマーチンゲール法の弱点と、マーチンゲール法でトレードを行っていくことの危険性について書いてみたいと思います。

マーチンゲール法のシミュレーションと、そこからわかる重大な欠陥

マーチンゲール法をきちんと理解するために、まず、簡単なシミュレーションをしてみましょう。

ここではスプレッドのことは一切考えず、掛け金100円で、勝てば掛け金の2倍の利益が得られると仮定して、マーチンゲール法でトレードを繰り返してみたいと思います。

たとえばこのトレードで2回負け、3回目に勝った場合、以下のようになります。

回数 結果 掛け金 トレード結果 累計損益
1回目 負け 100円 -100円 -100円
2回目 負け 200円 -200円 -300円
3回目 勝ち 400円 +800円 +100円

ちょっとわかりにくいので補足すると、3回のトレードで合計700円賭け、最後のトレードで800円を取り戻し、最終的に+100円で負えることができた、というのがこの表になります。

では、今度は少しシチュエーションを変えて、「10連敗してしまい、11回目でやっと勝てた」という場合にどうなるかを見てみましょう。以下のようになります。

回数 結果 掛け金 トレード結果 累計損益
1回目 負け 100円 -100円 -100円
2回目 負け 200円 -200円 -300円
3回目 負け 400 円 -400 円 -700円
4回目 負け 800円 -800円 -1,500円
5回目 負け 1,600円 -1,600円 -3,600円
6回目 負け 3,200円 -3,200円 -6,300円
7回目 負け 6,400円 -6,400円 -12,700円
8回目 負け 12,800円 -12,800円 -25,500円
9回目 負け 25,600円 -25,600円 -51,100円
10回目 負け 51,200円 -51,200円 -102,000円
11回目 勝ち 102,400円 +102,400円 +100円

額が大きくなってやや見づらい表になってしまいましたが、ここで注目していただきたいのは投資額の推移と累計損益です。

10回も連敗すると合計投資額は10万円を超えるのに、勝った時に得られる利益は最初の投資額分のみ。投資額の増加に伴い利益も増加しているように感じる人もいるかもしれませんが、その分過去の損失も増加しているのでトータルの利益は増えていないのです。

負ければ負けるほどリスクが高くなっていくのに、得られるリターンは常に一定。これがマーチンゲール法が抱える大きなデメリットになります。

連敗がかさめば、いずれ100円を取り戻すために何万といった額を使わなければいけなくなる。たった100円のために何万。こんなに馬鹿馬鹿しいことはありませんよね。

では、初期投資額を増やせばいいかというと、これも違います。初期投資額が大きくなれば、破産の可能性もそれだけ高くなるのです

たとえば上のシミュレーションを100円ではなく1万円でやった場合、表の数字がすべて100倍されるので、5連敗した時点での累計損失は36万、10連敗した時の累計損失はなんと1023万円なります。

これだけでもかなり絶望的な金額ですが、マーチンゲール法はその仕組み上途中で降りることができない(降りればそれまでの損失を受け入れることになる)ので、トレーダーは必然的に次のトレードに臨むことになります。しかし、11回目でトレードをするためには1024万円を用意しなければいけません。ここで投資金を用意できない、となれば、1023万円を諦めるか、少しでも損失を取り返すため残りの資産を投資するかのどちらかを選ぶことになります。

以上のことから言えるのは、マーチンゲール法を使うためには莫大な資本が必要になるということです。ただ、莫大な資本がある人は、こんなに効率の悪い方法で稼ごうとはしないでしょう。たかだか1万円のために莫大な負債を生む可能性のあるトレードを何度も何度も繰り返すなんて、普通に考えれば馬鹿げていますからね。

やるためには莫大な資本が必要なのに、莫大な資本がある人がやるには効率が悪すぎる。

このジレンマこそがマーチンゲール法最大の欠点とも言えるかもしれませんね。

ちなみに、上のシミュレーションではわかりやすさを重視するためにスプレッドの存在を無視しましたが、実際はスプレッドがあるので、FXでマーチンゲール法を使って稼ぐのはさらに難しくなります。

勝率の高い手法でマーチンゲール法を使うのもダメ?

マーチンゲール法がうまく機能するのは勝率が50%に以上の賭け事をする時のみです。(それでもずっとやっていればいつかは破産することになります)

FXの場合は手法によって勝率を変えることができますね。

たとえば極端な例ですが、勝率が10%を切るような手法を使った場合、単純に考えて10回中9回は負けることになるので、勝率50%の手法よりはるかに10連敗を引きやすくなります。

「それなら勝率が90%の手法を使えばいいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、たとえ勝率90%の手法でマーチンゲール法を使っても、10連敗する可能性をゼロにすることはできません。

そもそも、勝率50%の手法でも10連敗が起こる確率は(正確には0.097656%)です。もちろん、勝率90%であれば、その確率はさらに低くなりますが、確率がいくらに下がったって「起きる時は起きる」という事実は変わりません。

それに、勝率90%の手法ともなれば、エントリーポイントはかなり限定されるはずです。マーチンゲール法で稼ぐためにはとにかくたくさんトレードをしなければいけないので、1日に何度かしかエントリーポイントが来ないようでは、勝率うんぬんの前にまず稼げません

本当に勝率が90%も出せる手法なら、マーチンゲール法など使わず他の戦略で臨んだ法が安定して稼げるでしょう。

逆マーチンゲール法(バーレー法)とは?

逆マーチンゲール法(バーレー法)というものもあります。

これはどのようなものかというと、その名の通り、負けた時ではなく、買った時にだけ賭け金を倍額にしていくというマーチンゲール法の戦略をとります。

わかりやすくするために、例にならって100円でシミュレーションしてみましょう。逆マーチンゲール法で10連勝して11回目で負けた場合、以下の表のようになります。

回数 結果 掛け金 トレード結果 累計損益
1回目 勝ち 100円 +100円 +100円
2回目 勝ち 200円 +200円 +300円
3回目 勝ち 400 円 +400 円 +700円
4回目 勝ち 800円 +800円 +1,500円
5回目 勝ち 1,600円 +1,600円 +3,600円
6回目 勝ち 3,200円 +3,200円 +6,300円
7回目 勝ち 6,400円 +6,400円 +12,700円
8回目 勝ち 12,800円 +12,800円 +25,500円
9回目 勝ち 25,600円 +25,600円 +51,100円
10回目 勝ち 51,200円 +51,200円 +102,000円
11回目 負け 102,400円 -102,400円 -100円

表を見ればわかる通り、逆マーチンゲール法の場合、連勝が続けば爆発的に得られる利益が増えていきます。もちろん、普通のマーチンゲール法と同様、10回も連勝が続く確率は限りなくゼロに近いですが、一度でも10連勝が出ようものなら、莫大な富を気付くことができます。

逆マーチンゲール法では、大きく連勝できるまでに相当数の負けを経験しなければいけないことと、投資額が大きくなった時でもきちんと賭けられることが条件になります。

多くの資産が必要になるのは普通のマーチンゲール法と同じですが、こちらは好きなタイミングで降りられる(きちんと降りなければ損をすることになります)のでいくらかリスクをコントロールすることができます。

どれだけ連勝して利益が増えても1回の負けですべてを失ってしまうため、それを恐れて少ない連勝数で勝ち逃げをしたくなりますが、そこでいかに挑戦できるか(少ない連勝を意味のないものと判断し、より連勝を増やすことに挑戦できるか)がこの手法で稼げるか否かを決めるポイントになります。

勝率50%であれば、10連勝できる確率は1024分の1です。これは10連勝できる1セットに対し、1023セットは負けに終わるだろう、という確率です。

掛け金100円でやっていたとすれば、10連勝して102,000円手に入れられますが、1023回は負けるので、102,000円の損失が出ます。つまり勝率50%の手法で1024セットの逆マーチンゲール法を繰り返しても、結果はプラマイゼロということになります。

もちろんこれは期待値の話で、もしかすると500セット目で10連勝できるかもしれないし、2000セットやっても一度も10連勝以上できないかもしれません。もはや、ただのギャンブルです。

そして、普通のマーチンゲール法と同様に、自分の資金に限界がある場合は、いつか破たんすることになります。

まとめ

今回はマーチンゲール法についてあれこれ書いてきました。いかがでしたでしょうか。

50682405 - panorama of medieval town of gordes, provence. france

マーチンゲール法の起源は、18世紀まで遡るといわれています。18世紀のフランス・マーティギュー地方のカジノ、コインの表か裏かを当てる単純なギャンブルが行われていました。そのギャンブルでよく使われていたことから、マーティギューという地名をもじってマーチンゲール法と呼ばれるようになったのだといいます。

ちなみに、マーティギュー地方の人々はマーチンゲール法で大きな資産を築けていたのかというと、当然そんなことはなく。

多くの人々が「必勝法」としてマーチンゲールを使ってギャンブルに臨みましたが、そのほとんどは破産するか、カジノがマーチンゲール法の可能性を危惧して設けたベットリミット(掛け金の上限)によって損失を取り返せないで終わる結果となりました。

マーチンゲール法を命名したのは、のちにこの手法を研究した確率の専門家という説もありますが、マーティギュー地方の人たちの負けっぷりを見た人たちが嘲笑の意味を込めて呼んでいたという説もあります。もともとはフランス語のマルタンギャルだっという説もあります。

ただ、そもそも調べた限りフランスにマーティギューという地名があったという文献は全くなく、検索にもマーチンゲールの由来としてしか引っかかりません。

米WikipediaではフランスでPaul Pierre Levyによって1934年に考案され、後の1939年にVilleによって命名されたと書いてありますね。

ともかく、そういう諸説があるほど、古くから多くのギャンブラーに好まれ、使われてきましたが、その陰で多くの破産者を生んできた手法だということです。

本当に必勝法なら、破産者が生まれるでしょうか?

FXでも、負けが続いたり、良い手法に巡り会えなかったりすることが続くと、マーチンゲール法じみたことをしたくなることがあると思います。(私も何度か経験があります)

しかし、マーチンゲール法を使った先に待っているのは一時的な幸福と、絶対的な後悔のみです。

そこでぐっと踏み出したい気持ちを抑え、冷静にチャンスを待つこと。その我慢強さと冷静さこそが、手法うんぬんより勝てるトレーダーに求められることなのではないでしょうか。