*11月11日追記*
大統領選挙が終わりました。トランプ新大統領と為替の関係を解説した記事はこちらから。

こんにちは!FX SQUARE編集部の葉月です。
今年はアメリカの大統領選挙の年ですね。
オリンピックと共にやってくる4年に1度の大統領選は、相場関係者にとっても関心の高い出来事です。
一般的に、大統領選のある年のドル円相場はあまり動かず、選挙後から翌年にかけて大相場になりやすいと言われています。
それぞれの候補者が掲げている政策が異なるので、新大統領が誰になるかでドル円の未来が大きく変わる可能性があるからです。
2期継続したオバマ大統領は、アメリカの法律で3期目は認められないため、大統領が変わることは確実。現在は民主党と共和党の候補者指名争いも決着し、ヒラリー・クリントン氏とドナルド・トランプ氏の一騎打ち状態となっています。
11月に迫った次期大統領選挙を前に、皆さんが一番気になる「今度の大統領選で誰が選ばれたらドル円はどう変化するのか」を、為替に関わる点から探ってみたいと思います!
このページの目次
アメリカの大統領選は10カ月続く長丁場
16年 | 2月19日 | ニューハンプシャー州予備選 |
---|---|---|
20日 | サウスカロライナ州予備選(共和) | |
27日 | サウスカロライナ州予備選(民主) | |
3月1日 | スーパーチューズデー | |
15日 | フロリダ州予備選 | |
6月7日 | カリフォルニア州予備選 | |
7月18~21日 | 共和党大会(オハイオ州) | |
25~28日 | 民主党大会(ペンシルバニア州) | |
9~10月 | 候補者討論会 | |
11月8日 | 大統領選投開票 | |
17年 | 1月20日 | 新大統領就任式 |
スケジュールを見て分かるように長期で行われるのが特徴です。大きく、前半の1~6月と後半の9~11月に分かれ、前半は政党内の候補者を決める争いであるのに対し、後半はライバル政党の候補者との一騎打ちです。
現在は、各政党の候補者が絞られ、民主党からはヒラリー・クリントン、共和党からはドナルド・トランプが選ばれています。

ヒラリー・クリントンと言えば、1993年から2001年までアメリカ大統領を務めたビル・クリントンの妻で、今回の選挙で当選すれば初の女性大統領になる人物です。

対するドナルド・トランプは「アメリカの不動産王」と呼ばれ、たびたびメディアに取り上げられる過激な発言や、選出前に政治家としての職に就いたことがなかったことでも注目度が高い人物です。
元々共和党からはジェブ・ブッシュという人物が選出として濃厚で、「またもクリントン家とブッシュ家の戦いか?」などと言われていた大統領選でしたが、トランプ氏が選出されたことで、後半に向けて一気に盛り上がりを見せています。
2016年10月上旬現在、両社の支持率は極めて拮抗していて、どちらが勝利するか分からない状況です。
為替相場への影響は?
クリントン氏 | 争点 | トランプ氏 |
---|---|---|
「賃金の良い雇用の創出」 オバマ政権を継承・強化 |
基本姿勢・特徴 | 「米国が第一」 政策実行は議会や相手国との「交渉」 |
賃金増などの基準を満たさないTPPのような合意は拒否する | TPP | 自由貿易は米国にマイナス。TPPは再交渉を明言 |
他国の為替操作、貿易不正の取り締まり強化 | 通貨・貿易 | 中国を「為替操作国」に指定。 円安も批判。高率の関税を検討 |
中間層に減税、富裕層に増税。 賃金増、国内回帰の企業に税制優遇 |
財政・税制 | 富裕層を含め減税。法人税率(連邦税・現行35%)を15%に下げ |
金融規制(ドッド・フランク法)を強化 | 金融規制 | ドッド・フランク法を撤廃か大幅緩和 |
パリ協定に賛成。 再生可能エネルギーを推進 |
地球温暖化対策 | パリ協定は「労働者に不利益、国益に反する」として不参加 |
アラン・ブラインダー氏(元FRB(連邦準備制度理事会副議長)) | 経済官僚の候補 | カール・アイカーン氏(投資家) |
ラエル・ブレイナード氏(FRB理事) | グレン・ハバード氏(大学教授) |
基本的に、クリントン氏の経済政策は、オバマ政権の政策をある程度引き継いだ現実路線の内容だと言われています。そのため、為替相場においては大きなサプライズにはなりにくい印象です。
一方のトランプ氏は、主張が過激なことに加え当選した場合にどうなるのか予測が難しいと言われているため、不確実な状態を好まない市場関係者からは評価されない可能性が高いとされています。
トランプ氏の経済政策は、投資・消費・輸出増という期待よりも、財政赤字の急増・悪い金利上昇・ドル安という懸念の方が強まり、市場のボラティリティ(変動率)は各段に上昇する恐れがあります。
ただ、政策を法案化するのは議会なので、極端な政策が実現する可能性は低いと考えられます。
これらのことから、今後の選挙戦においてトランプ氏が優勢になればなるほど、その不確実性は高まり、ドルが売られ円が買われる「円高ドル安」の状態になる可能性があります。
一方のクリントン氏も、決して円安になるような材料は政策として掲げていないため、クリントン氏が選ばれたからと言って円安に向かうというわけではなさそうです。ただ、トランプ氏と比較したときには、その不確実性が低い分、ドル円相場に関しては落ち着いた動きになることが考えられます。
むしろ、直前までトランプ氏が優勢で逆転してクリントン氏の当選となった場合には、トランプ氏が選ばれなかったという理由から一時的に円安ドル高になる可能性だって考えられます。
いずれにせよ、相場への織り込みはこれからが本番なので、今後の選挙戦の動向を注視しておく必要があります。
まとめ
以上が、現状考えられる、大統領選挙の為替に対する影響です。
また、実際のところ為替に対する政策のキーパーソンとなるのは財務長官だとも言われています。
アメリカの為替に対する政策の歴史を振り返ると、大統領自身が直接関与していたことは少なく、具体的な戦略やその運用は財務長官に委ねられることが多いようです。実際、アメリカの為替政策が同じ大統領の任期中に180度変わったことが戦後2回あります。
そのため、どちらの候補者が大統領になるにしろ、次期大統領が指名する財務長官に関しては注目しておいた方が良さそうです。
クリントン氏は元FRB副理事など、すでにアメリカの経済政策に関わりのある人物を候補に据えているのに対し、トランプ氏は投資家や大学教授など、民間から選出すると見られています。
10月に入り、選挙活動が本格化していく時期なので、ますます今後の展開からは目が離せません。
どちらが選ばれるにしても、11月以降は今の流れが変わる可能性があります。
今後ニュースなどで取り上げられる支持率をもとに、神経質な相場になることも十分考えられます。この時期のトレードは、その点を加味したトレードを心がけましょう!