スプレッドとは、FXの取引の度にかかるコストの1つです。現在、ほとんどの国内FX会社が「売買手数料」を無料としていますが、実際にはこのスプレッドが手数料の役目をはたしています。
FX会社の為替レートには、たくさんの価格が表示されています。刻一刻と数字が切り替わっているので初心者の方は混乱するかもしれませんが、よく見てみると、各通貨ペアごとに「Bid」と「Ask」とという2つの言葉が表示されていることがわかるかと思います。

Bid(ビッド)とは何かというと、売り値のことです。つまり、個人投資家が売る時の値段です。一方、Ask(アスク)とは買い値のことで、こちらは買うときの値段を表しています。
さて、このBidとAskという2つの値段、よく見てみると一定の差があることがわかります。つまり、あるタイミングで円でドルを買い、その後まったく為替レートが動かないうちに売り直したとしても、プラマイゼロにはならず少し損をしてしまうということです。
上の画像でいうと、102.552円(Ask)で買って、すぐに売っても102.549円(Bid)しか返ってこないということです。その差額は0.003円であり、これがスプレッドです。
スプレッドはFX会社の利益となる部分であり、実質の取引手数料となっています。
FX会社によってスプレッドの広さは変わりますが、狭ければ狭いほどコストが下がり、個人投資家にとっては有利になります。
スプレッド0.3ってどういうこと?
国内の各FX会社のスプレッドを見ると、ドル円は0.3、ユーロ円は0.6であることが多いです。いわゆる最狭水準ですね。大手のFX会社はそれぞれが牽制し合っているのでだいたい同じ価格になります。

FX会社によっては表示されていないところもありますが、ドル円やユーロ円などの円が絡む通貨ぺアのスプレッドの単位は「銭」です。スプレッド=0.3銭であれば「1通貨あたりの手数料が0.3銭」ということです。
1銭=0.01円ですから、ドルを1通貨(1ドル)買えば0.003円、1,000通貨(1,000ドル)買えば3円の手数料が発生するというわけですね。
円が絡まないユーロドル、ポンドドルなどの通貨ペアのスプレッドの単位は「pips」となります。ちょっと複雑で混乱を招くかもしれないので割愛しますが、pipsについて詳しく知りたい方は次の記事がおすすめです。

実際の損益は決済した時の為替レートによって決まりますが、トレードを連発すればそれだけ多くの手数料をFX会社にとられているということになります。1回あたりのトレードにかかるスプレッドは小さなものですが、塵も積もればなんとやら、です。
スプレッドは皆さんがトレードに買っても負けても必ず発生するものです。無駄な資金の減りを極力減らすためにも、ノリのエントリーや勘のエントリー(根拠のない運任せのエントリー)はしないようにしましょう。
固定スプレッドと変動スプレット
静止画ではわかりづらいですが、BidやAskの値は刻一刻と変化しています。しかし、スプレッドに関しては、為替レートが変動しても同じ金額が維持され、変わりません。これは、FX会社が原則固定スプレッドという形態をとっているためです。
現在、多くのFX会社が原則固定スプレッドを採用していますが、中には違うスプレッドを採用しているところもあります。スプレッドにはどのようなパターンがあるか、ちょっと見てみましょう。
スプレッドの種類とその特徴
完全固定
スプレッドが変動せず固定されている。現在、この形態をとっているFX会社はない。
原則固定
スプレッドが原則的に固定されているが、指標発表時など為替相場の変動が激しくなる時にはスプレッドの変動が起こる可能性がある。現在、ほとんどのFX会社がこの形態をとっている。
変動
スプレッドが常に変動する可能性がある。
キャンペーン
キャンペーン期間中の特別なスプレッド。特定の通貨に対して行われることが多い。(例:11月1日~11月29日まで豪ドル円1.2銭⇒0.9選など
為替レートが激しく変動している時にエントリーし、いきなり大きなマイナスを抱えた経験がある方は、これで疑問が解消したのではないでしょうか。
リーマンショックや日本大震災のような突発的な出来事が起こった場合に、やむを得ずスプレッドが拡大する可能性があるというのが原則固定スプレッドの特徴です。変動スプレッドの場合は、より大きく変動する可能性があります。
また、為替レートが急変している時にエントリーすると、スリッページの発生によりそれでもマイナスを抱える可能性があるので注意が必要です。
スリッページとは?
注文時の表示価格と実際の約定価格とのあいだに生まれる差のこと。スリッページの価格差は投資家にとって有利に働くこともあれば、不利に働くこともある。
スリッページはそもそも「読める」ものではないので、スプレッド拡大の危険性も加味し、相場が急変しそうなタイミングでのエントリーは極力避けた方がいいでしょう。
スプレッドの配信率
スプレッドには「配信率」というものがあります。これは原則固定スプレッドにおいて、FX会社が投資家に配信した全ティックのうち、「原則固定」として提示しているスプレッドの値がどれだけの割合を占めているかを表すものです。
たとえば、ドル円のスプレッドが0.3、99.11%と書かれていたならば、過去一定の期間(1ヵ月間である場合が多い)においてスプレッドが0.3で提供されている割合が全体の99.11%を占めているということです。
期間によって為替レートの変動の度合いは異なるので、スプレッドの配信率がどれくらいなら安心、と明確な線引きをすることはできませんが、高いに越したことはないでしょう。
大手FX会社ならどこもだいたい98%以上になっています。もし95%を下回る場合は、原則固定とは言えないかもしれませんね。
会社によって、「配信実績」「提示率」などと表記されている場合もあります。